Dr.斎藤秀也の症例

叢生（そうせい）とは、歯の大きさとあごの大きさのアンバランスにより、歯が部分的に重なってしまう状態を指します。場合によっては、治療の際に抜歯が必要になることも。

歯の大きさとあごの大きさのバランスがとれないため、歯が並ぶスペースが足りずにいろいろな箇所で重なってしまっています。「乱ぐい歯」とも呼ばれ、犬歯が後から生えるために生じる八重歯も、このパターンに該当します。

歯そのものが大きかったり、あごの骨の発育が不十分だったりすることが主な原因です。アンバランスの程度が大きすぎるときは、永久歯を抜いて矯正治療で歯並びを改善する場合もあります。

この叢生とは逆に、歯が小さいなどの理由でアンバランスになっているケースでは、歯並びに隙間のある「空隙（くうげき）」が生じます。乳歯の段階では、その後に生える大きな永久歯のためのスペースとして「空隙」があるのが正常です。しかし、永久歯の歯並びでは隣同士の歯が隙間なくきちんと接している状態が正常です。

「出っ歯」とも呼ばれる上顎前突（じょうがくぜんとつ）は、見た目に上の歯が前に突き出ている咬み合わせです。

あごの骨そのものに問題がある場合と、歯だけが前に出ている場合があります。上顎前突の約70％は、下のあごの骨が小さいことが原因だと報告されています。

上顎前突は、きちんと噛めず、転倒した際に歯や骨を折ったり唇を切ったりする可能性が高い状態です。また、見た目も良くありません。

反対咬合とは、噛み合わせた時に下あごの前歯が上あごの前歯よりも前に出ている、いわゆる受け口と言われる状態です。

この状態を成長期に放置すると、骨格性下顎前突（こっかくせいかがくぜんとつ）という難しい症例へと進行する可能性があります。そうなると、治療法として外科的に下のあごの骨を切断しなければなりませんので、早期の治療開始をおすすめします。

成人の反対咬合の場合、一番は見た目に悩まれるようです。歯の健康面でも、前歯の咬み合わせが強くなるため、前歯を早期に喪失するケースが非常に多く発生します。

反対咬合は我慢できたとしても、前歯がない状態は我慢できません。程度にもよりますが、反対咬合は矯正治療で十分に改善できます。できるだけ早く治療を始めましょう。

オープンバイト（開咬）は、噛み合わせた時に奥歯は接触しても、前歯が噛み合わない状態を指します。

麺類などを食べる際、前歯で噛み切れず舌を使って食べている自覚がある方は、オープンバイトの可能性が高いと言えるでしょう。

いわゆる「すきっ歯」は、空隙歯列（くうげきしれつ）という歯と歯の間に隙間がある状態を指します。特に、前歯の真ん中に隙間がある場合、正中離開（せいちゅうりかい）と呼ばれます。

すきっ歯の原因は、生まれつき歯の本数が少ないこと、乳歯が永久歯の成長を妨げているケースなどです。すきっ歯を放置すると、将来的に発音障害や食べ物が詰まりやすくなるなどの問題が生じ、歯周病のリスクも高まります。

残念ながら、大人の歯が生えそろった後では、すきっ歯が自然に治ることはありません。

ガミースマイルとは、笑顔になった際に歯ぐきが過剰に見えてしまう状態を指します。一般的に、歯ぐきが3mm以上見えている場合、ガミースマイルと判断されます。

普段は全く見えていないのに、笑うと必要以上に歯ぐきが露出してしまい、思い切り笑うことに抵抗を感じる方も少なくありません。また、笑った瞬間に手で口元を隠す癖がついてしまう場合も多いようです。

抜歯矯正は、歯を並べるスペースが不足している場合に、歯を抜いてスペースを確保する矯正方法です。

歯並びが並ぶスペースが足りずに無理が生じている状況では、1本の歯を犠牲にして残りの歯を美しく並べるのが抜歯矯正の一般的な考え方です。通常、健康な歯を上下で合計4本抜きます。手軽に歯を並べるスペースを確保できるので、日本の矯正治療ではこの方法が主流となっています。

マウスピース矯正は、従来のワイヤー矯正と比べて非常に難易度が高く、担当する歯科医師の技術によって治療結果が大きく左右されます。当初の予定期間内で治療が終わらず、さまざまなトラブルを抱えて当院に転院される患者さまも少なくありません。

これは、担当医が適切な治療を行っていないというわけではなく、マウスピース矯正の難しさを物語っているのです。悩みを抱えている患者さまは本当に多くいらっしゃいますので、どうぞお気軽にご相談ください。